ボートの手綱を握り、大海を駆け回り、「喰ってもなかなかフックアップしない・・」とお嘆きのマーリン・カーボーイの皆様に朗報!
世界の名キャプテンやクルーが使い始めた、フックアップ率を高める2つのメソッドをご紹介します。
< メソッド1 : 低ドラッグ値設定でのトローリング >
これはかなり以前から一部のキャプテン達が使っていた方法のようですが、最近その効果が多くのアングラーから報告され、その有効性が再認識されてきたメソッドです。当方もこの方法で、周囲のバラシを尻目に高フックアップ率を実感しています。
①まず、リールのドラグ設定を出来るだけ低めにします。
どれくらい低いかというと、ルアーの水圧抵抗でリールからラインが出る少し手前までドラッグレバーを下げます。もちろん風波の高い時やボートスピードが上がれば、ドラッグ値も高くセットしなければいけません。(抵抗な大きなルアーを曳く場合は、トップガンフィッシング製リリースフックやAftcoのフラットラインクリップの使用も有効な手法です。)
②カジキのバイトがあり、ラインが激しく引き出されるまでドラグはそのままで。
多くの場合、‟3~10秒”ほどでしょう。カジキがルアーを咥え、走り始めれば、徐々にストライク位置までドラグレバーを上げてフックアップさせます。ドラグレバーを上げるまでの待ち時間の幅が大きいのは、ラインの出方により、『どのタイミングでレバーを上げるか』に違いがあるためです。(大体ですが、30~50m程ラインが出たところでレバーを上げろという声が多いようです)これはライブベイトでの釣りと良く似ています。ドロップバックを何ヒロ取れというような感じで感覚的なのです。
しかし、この方法に変更してから、フックアップが確実に増えたと言うビルフィッシャーの方々、(著名なチャーターボートキャプテンを含め)がかなりおられるようです。試す価値十分にありそうですが、手慣れたアングラーや気転の利いたデッキハンドがいりますね。
またこのメソッドでは、トップガンNYやGW、MS、AS、モールドクラフトのようなソフトヘッドルアーを使います。ハードルアーは、カジキが咥えたとき違和感があり、吐き出してしまうのでしょう。
< メソッド2 : 高ドラッグ値設定でのトローリング >
これは、約20年ほど前に「J.コクラン」が、使い始めたとされる方法です。彼はメキシコ湾でチャーターボートのキャプテンを営みつつ考えました。
「カジキのバイトは、通常3割前後しかないフックアップ率を、どうすれば向上できるか?」 で使ってみたのが、どこかで私も聞いた覚えのある日本の漁師が使っていたという仕掛けに似たものでした。
写真①
スティンガー・システム - それはルアーのスカートをかなり長めにし、尚且つ写真のようにシングルのスティッフ・リグ(固定リグ)をIGFAルールぎりぎりまで後ろにセットするというものでした。彼はこのシステムを使い始めて以来の約10年の平均実績で約7割のフックアップ率を実現しています。
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このシステムでのポイントは、
①スカートが長め
②シングルフックでスティッフ(固定)
③スカートエンド一杯のフック位置
④大きめのフックを使用
⑤ドラッグ値を高めに設定
①スカートが長め
写真②
写真②はトップガンN12GSですが、下のルアーが通常多用されるスカートサイズです。このシステムに使う物は、上のようなかなり長めのスカートで全長は14インチ(35cm)ほどになります。また、ヘッドの形状ですが、ウエートが入ったカットタイプでトップガンのNシリーズのようなヘッド長の比較的短いものが適しています。
②シングルツナフックでスティッフ(固定)
コクラン氏が使うシステムは、ツナタイプのフック(マスタッド7691S等)にワイヤーと熱収縮チューブやハーネステープでシングルフックを写真①のように作ります。このとき、スカートの長さを考慮し、フックの先端はスカートから出るくらいに調整します。
参考までに、トップガンNシリーズはかなり激しい動きをするため、N12では通常マスタッド7732の#10/0のダブルフックリグ(スティッフ)を使ってきました。それはシングルフック仕様では暴れすぎる傾向があるためでした。シングルを使用する場合は、この数年来は、#10/0サイズでフックをかなり後ろのセッティングし、フックのアイ(付根の輪)を収縮チューブ等で固定し、自由に動かないようにしたものを使っています。(写真①のトップガン・ギャフリグの進化版を Web Shop “La Grande” でご覧頂けます。)
また、ドアノブルアー開発者でカジキのルアーフィッシング界の巨人「ブルークス・モリス氏」も長年これに似たリップラッチスティッフリグを使い、高フックアップ率を実現し続けていました。
③スカートエンド一杯のフック位置
フックの位置はIGFAルールを考慮し、フックのアイ(輪)が、スカートに隠れるようにセットしますが、フックの大半はスカートの後方にはみ出しており、特に針先はスカートに邪魔させずにカジキの口に掛かるようなセッティングにします。
④大きめのフックを使用
通常使うサイズが#10/0の場合、#12/0か#13/0の2~3サイズ大きいフックを使用する。ゲイブ(フックのシャフトから針先までの距離)の広さを活用することで、カジキを掛けやすいと考えたのでしょう。
注)当方では、80ポンドクラス以下のタックルを使用することが多いので、針の軸径の太い大型の針は貫通性を考慮し、おすすめしておりません。
⑤ドラッグ値を高めに設定
このシステムではドラッグ値を高めに設定します。カジキがルアーを口に咥えて走りだした時点でフッキングをさせる為、以下のような設定値を「コクラン氏」は薦めています。低めに設定した場合と実際に比べた結論だそうです。
トローリング時のドラッグ値
コクラン氏は、「このシステムは30ポンド未満のラインには不向きだ」とも付け加えています。これはフックアップに十分なドラッグ値が得られないためだと思われます。
クルーの少ない日本のトローリング事情を思うと、メソッド1と2を比べれば、後者がより現状に即した方法ではないでしょうか? 但し、フックアップ後は、各ライン強度のの1/3までのドラッグ値でファイトされるのが無難であると思われます。ご注意を!
筆 サキタカ ( 株式会社トップガンフィッシング代表 さきやまたかし )
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ここに紹介しているルアーなどは Web Shop “La Grande“ でご購入していただける予定ですが、詳しくは下記にメールでお問合せ下さい。
info@topgun-fishing.com
注)メールソフトによってエラーになるようですが、通常は届いております。